実際のコンサルティング事例をQ&A形式でご紹介いたします。

医療法人にしたのは良いが、黒字経営なのに何故か法人税を払う際、私(理事長)個人が法人に納税資金を「貸さなければならなかった。」ことに疑問を感じつつも税理士の指示に従ったが?

決算書をチェックした結果、主原因としては「土地(駐車場用地)を法人名義で購入」した事でした。
医療事業用に限らず土地の購入は、経費処理できる部分がゼロですので購入の際には注意が必要です。
経費にならないのに借入にせよ手持ち資金にせよ現金は出ていきます。
例えば医療機器等は現金が出て行きますが経費にもなりますのでバランスは取れます。
しかし土地の場合、財産としては残りますが必要経費としては償却出来ない資産ですので、第三者から借りるか理事長個人が購入し、医療法人に貸すという手段があったのかもしれません。

スタッフ間に不協和音があり、人を採用してもなかなか定着しません。どのように対策をする必要があると思いますか?

スタッフの問題について先生ご自身が指導的な立場を担っていないのではないでしょうか?
リーダーが誰なのか、スタッフ教育の場、例えば勉強会を外注し、その席に一緒に出席されていますか?
先生が真剣に叱ったり指導力を発揮しなければ問題解決の方向には向かいません。お手伝いします。

スタッフの中に反抗的な人がいて困っています。仕事は出来るのでいなくなっては困ります。どのように指導すれば良いと思われますか?

就業規則の中の「服務規定」の部分、つまりどのように仕事を進める必要があり、給与や個人の権利を主張する前に義務をどのように果たす必要があるのか。という条文があります。
その部分を分かりやすく解説したり勉強会を開いてみては如何でしょうか?その中には他のスタッフと協調する必要も説かれています。
それと医療機関は先生の診療行為があって始めて経済的活動がスタートする、つまり先生の仕事をしやすくする事を解説する勉強会も行っておりますので、一度ご依頼下さい。

辞めたスタッフが今頃になって給与の未払いがあるとして文書で抗議してきました。どうすれば良いでしょうか?

おそらく、規定を労働基準監督署等で確認し矛盾点について、若しくは不当な扱いとして抗議してきたのだと思われます。
素早い対処が必要になりますので、至急規定を確認して下さい。それと辞めた理由も確認する必要があります。
労使紛争に発展すればほとんど経営側が負けてしまいますので経営者としての観点から規定を読みこなす必要もあります。
その点も顧問社労士と共にアドバイスしております。

診療点数の改訂で収益が減るのですが、対策はどのような方向性で考えるべきでしょうか?

例えば売上げが点数改訂も含めて10%下がれば、先生の収入は30%減ることになります。
経費は変わらないからですが、診療所にとって売上げを上げる方法は二つしかありません。一つは経費削減、そして増患です。経費削減にどうしても目が向きがちですが、人を削減しようとすると増患を目指す際の障害になりますし、負の連鎖を招きかねません。
大切なのはスタッフの再教育も含めた増患の為の対策を全員で話し合うということです。
高い費用をかけてスタッフ教育を外注する先生もいらっしゃいますが効果は疑問です。
それよりも、就業規程をしっかり作り、服務規定を皆で読み解く勉強会を先生も参加し実施する事が最も効果的です。

相続対策は必要だと考えているが、どういう手順で進めて行けば良いのでしょうか?

大事なのは、先生が「どうしたいのか」という観点からソリューションスタートさせるという事です。
多くのコンサルタントは「この方法が最善」という策を最初から提示して来ますが、「個人の希望」に合わせるのが良い対策だと考えます。
その際、誰にどの財産をどのぐらいの割合で、という事になりますが、その財産の現在価値をまずは棚卸ししなければ対策がスタートできません。

子供は三人、うち一人が医者になり、将来は継いでほしいと考えています。何か今から対策しておくことはありますか?

医療法人の場合、医院の価値を正確に把握しておく必要があります。
個人資産の多くが医療法人の場合、他の兄弟へ等分に調整をする場合、価値に相当する現金等での分配に備える必要もあります。
他の兄弟が放棄する場合でも跡継ぎの納税資金が必要になります。
病医院の現在価値が高く、現金資産が少ない場合は早急に対策をスタートさせる事が大切です。

医院の跡継ぎはいないのですが、医院を始め、不動産が複数あります。どのような準備をするのが良いのでしょうか?医療法人にして12年になります。

跡継ぎがいてもいなくても法人の場合、対策の基本は同じなのですが、将来法人を清算する場合にも手持ち現金資産を増やしておき、退職金で回収する必要があります。
法人を清算する場合負債を相殺し退職金支払後の資産に対し「精算法人税」が課せられます。
現金資金が乏しく資産価値が高い場合、精算法人税が払えず、精算(解散)出来ない事態に陥る可能性もあります。
個人所有の不動産も正確な時価評価をして一度棚卸しをする必要があります。

数年後に息子が帰ってきて医院を継ぐことになる予定ですが、どのような準備が必要でしょうか?

まず、現在の出資持分(平成19年度以前設立の医療法人は出資金の価値が個人に帰属)の評価をする必要があるでしょう。
計画的に贈与を毎年行い息子さんに移管する事が効率的であり、理事長の退職金の準備も合わせて対策する事がポイントです。
今から現金資金を確保すべく対策が必要になりますので、現金による安易な機械購入や設備投資も慎重に調達方法を検討すべきですし、法人の価値は毎年変化しますので定期的に確認作業をする必要があります。

息子にバトンタッチするのに医療法人にしたほうが良いのでしょうか?知り合いにはそれが相続対策も兼ねて有効と聞きましたが?

一概に法人化が問題を解決する事に繋がるとは限りません。
確かにレセプト番号の変更等一部の手間は省けますが、問題は単純ではありません。
現在の保険収入の額と、今後の診療環境の変化、設備投資、その他個別に検証すべきです。
従いまして、後継者も含めた診療スタイルの確認と法人化の税務面からのメリット等、検証が必要です。
加えて多くの先生が勘違いをされている点ですが、相続対策には基本的になりません。
オーナー経営であれば医院の価値は個人の財産そのものだからです。

個人開業で、息子にバトンタッチする際の留意点があればアドバイス願えますか?

個人の場合は廃業と新設の申請が必要です。
あわせて医療用の資産、建物土地を次世代に将来的に相続させる場合、他の兄弟とのバランスも考える必要があります。
その他、医療機械やその他、スタッフも引き継ぐ場合、計画的に進める必要があります。
現在の診療所が個人所有なら後継者に完全に引き継ぐ場合は家賃収入が発生しますから、その負担と後継者の診療収入とのバランスも考える必要があります。