後期高齢者医療制度の見直しも持ち越し

――民主党のマニフェストでは後期高齢者医療制度も止めると謳っていたのですが、この春からということにはならないようです。これに代わる保険制度をどうするのか、医療費の自己負担割合、または所得による負担率の上昇といった問題が以前から指摘されていますが、これらについてはいかがでしょうか。

鈴木 ちょっと、今のところはまだ把握していません。

――いちおう後期高齢者医療制度を廃止した後には65歳以上を一括した保険が想定されているようですが、現実問題として、私の患者さんも「来月から75歳になるのですが、今までは自己負担が10%だったのに、後期高齢者保険は所得によって負担率が違うものですから、誕生日以降はいきなり30%に上がるんですよ」とおっしゃっていました。75歳にもなって30%の負担とは、お気の毒としか言いようがありません。

結構、医療全体の中でも、75歳以上の後期高齢者医療のウェイトが高いですね。私のところの診療所は駅前にあって、二十歳代の人も結構来るほうだと思うのですが、レセプト枚数のうちどれぐらいが後期高齢者医療制度のものか確認したところ、4分の1がそうでした。私は内科医ですから、高血圧とか*****とか、そういう方が慢性疾患でたくさん来ているのですが、国民健康保険のうちの5割が後期高齢者です。どこの医療機関でもそういう傾向になりますと、近く選挙もありますからますます慎重になっているのだと思いますが、何とかそこを安定させていただかないと……。病院にはそういう方々は救急以外はあまり来ないでしょうが、裾野の広い医療の分野では後期高齢者の負担ということが大きな問題になるだろうと思います。
民主党にとってこの問題は、これからの話なのでしょうね、まずは予算を通して、それから来年に向けて法律をつくっていくと。

鈴木 ええ、とにかく今は夏の参院選に向けて一本槍の動きになっているようです。

――とりあえず、この4月から実施するものについて取りまとめ、まとめ切れないものについては参院選後に、ということになるのでしょうね。

鈴木 消費税のことを言うと選挙に勝てないという歴史がありますから、選挙を過ぎてから本格的な論議が始まり、消費税財源ということになってくるのではないでしょうか。鳩山さんは就任直後、4年間は消費税アップはないというふうに言い切りましたが、そこに行き着かないとどうしようもないと思うんです。

――結局、消費税の改定があったときにしか、大きく日本のOECD諸国に対する位置づけとか日本の特殊な高齢化の進展の状況を反映した改定というのはあり得ないということでしょうね。私もそう思っていてこの春の改定に期待はしていないと言いますか、変わらないぐらいに落ち着いてくればまあまあかなと。

鈴木 そうですね、あとはやはり所得格差の問題も先ほどご指摘になられたとおり、矛盾点が相当ございます。所得で色を付けていくということになりますと、本当に同じインフラのサービスを受けるのに、個人個人のコストが違ってくるということになります。社民党は、高所得の人はたくさんもらっているんだから、というようなことを言いますが、それなりに所得が高い人というのは自助努力をされているわけですよね。この辺はどういうふうに見ていくのでしょうかね。今は連立を組むしかないわけですが、夏に、うまく行けばそのあたりも統一されていくのかなという気もしないではないのですが。
以下、次号につづく

(2010年2月8日、神戸医師協同組合本部役員会議室で収録。その後の経過もふまえ適宜補充。)