
(前回記事)
今回で3回目の対談には前回に引き続き株式会社エクセル代表・鈴木氏に加え、株式会社DLS取締役室長を交え、病医院の抱える「モンスターペイシェント等」について、最近の傾向と対応策についての対談を行った。
第3回 モンスターペイシェント等について
藤田事務局長(以下藤田) 数年前から「モンスターペイシェント」という言葉が用いられ、院内暴力やクレーマーの問題で悩んでいる先生も増えていると聞いておりますが、この問題について鈴木さんはどのような捉え方をしていますか?
(株)エクセル鈴木代表(以下鈴木) はい、その問題につきまして、医療サービスを提供する病医院では一般企業の常識とは異質の対応が取られてきました。これは病気で弱い立場だから少々のクレームやセクハラは容認する。という誤った認識があると言う事です。
患者からの暴力に対して業界全体の「暴力として認めない組織風土」があり、管理者から「うちの医院ではそのような報告はない。」という答えも多いのですが、これは経営側の認識不足で暴力被害を報告するシステムが未整備なため、報告が管理者にあがらないだけという実情があります。
藤田 院内暴力の具体的内容についてどのような分類と認識が必要なのでしょうか?
(株)DLS田中室長(以下田中) 私の経験から多く聞くのは「セクハラ」や「いじめ」と言った内部の問題が開業医、所謂診療所やクリニックの現場では多いような気がします。あわせて精神科の病医院では労災扱いになりますが、精神疾患からくる暴力とかでしょうか。
鈴木 そうですね、それに加えて言えば患者の家族等からの「言いがかり」や忙しさからくるコミュニケーション不足、認識の相違による言葉の暴力。そして慰謝料と称して現金を遠巻きに要求するケースなどでしょうか。
藤田 なるほど、そのあたりは対処法として具体的な対策は進んでいるものなのでしょうか?
鈴木 残念ながら、突然事態に巻き込まれて慌てる。というのが実情だと思われます。そして事態が悪化して初めて弁護士等に相談する管理者も多いと聞いています。
田中 私も社労士業務で出入りをしている病医院の管理者、さらにはそこのスタッフからも直接相談を受ける事もあります。その段階ではほとんどの場合、悪化した状態で対処が極めて難しい事が多いですね。
藤田 そのようなケースの場合、田中さんのほうでの対処は具体的にどのように進めるのですか?
田中 そうですね。やはり着陸点、つまり妥協点をあらかじめ予測し、私どもがクッションの役目をすることになります。労使間の間に立ち、互いの言い分を徹底的に聴くことにより、将来に支障やシコリが残らないような暫定案を提示し、ゆっくり詰めてゆくしか方法は考えられません。感情的になっているところに最初から理論をぶつけてもうまくゆかないのです。
藤田 おっしゃる通りですね。対立するという事は感情的に譲れない状況ということで、引くに引けない状況のままでは時間が解決してくれませんよね。ところで、院内暴力には外的要因と内的要因があることは分かりました。例えばその実態がデータとしてどのぐらい起きているのでしょうか?
鈴木 はい、日本病院協会が実施した院内暴力の実態調査では、(身体的暴力・精神的暴力・セクハラ・その他)を合わせ、あったと回答した職員は52.1%でした。これは病院の実情ですが、無床診療所も同じぐらいの数字だと思われます。事実、患者からのストーカー行為にあったケース等も出入りのクリニックで数件聞いた事がありました。その中の一件では警察に単に相談するだけでなく、文書で報告と一緒に被害の実態を伝えるというアドバイスも顧問弁護士と一緒にした事がありました。驚いたのはこの時、管理者(院長)が被害届提出について難色を示したことです。つまり、「本人の勘違いでは?」「大げさにする必要があるのか?」「医院の評判に影響は無いか。」「逆恨みで何かされるのでは。」という考えがあったようです。
その後、その職員さんは優秀な方でしたが管理者の対応にショックを受け、辞めてしまいました。







