第1回事務局長対談 開業医を取り巻く経営問題とカテゴリ

医師協メール「vie」連載企画 事務局長対談
北海道医師協同組合員の皆様に対して、業務提携後約3年に渡り開業・勤務の先生方にコンサルティングを提供されて多くのご支持を得ている株式会社エクセル代表の鈴木善和氏に、これまでの道内でのコンサルティング活動について振り返っていただき、これからの活動について、北海道医師協同組合事務局長の藤田昭がお話しを聞いた。

第1回 開業医を取り巻く経営問題とカテゴリ

藤田事務局長(以下藤田) 本日は宜しくお願いします。鈴木さんは実に200件以上の医療機関の経営におけるコンサルティングを実施されてきた実績がおありですが開業医にとって病医院経営におけるこれからの留意点があれば聞きたいのですが。

鈴木代表(以下鈴木) 開業医と病医院(診療所)は一心同体、つまり一般法人との違いをまず申し上げます。

一般法人は常に利益を追求することが目的であります。まずこの点が病医院(診療所)と大きく概念が分かれるところでございます。

病医院はある意味公共サービス的な側面を持ち、地域のインフラの一部として住環境等にも影響を与えますが、一般法人は場所の概念は商業的には関係ありません。そのような背景と地域に付加価値の高い医療サービスをという考え方から、一部の診療科目を除き法人事業税が免除され、医療法人という概念が昭和61年に認められ現在に至ります。当初は全国で170件、現在では約42,000件となっております。

しかしながら、法人と言うからには健全な利益を確保し、最新の医療機器等にも投資しなければ地域インフラとしての役割を果たすこともままならないわけです。端的に申し上げますと医療技術に加え、極めて経営的な要素が必要とされると言う事です。

第五次医療法の改定により、出資持分(一般法人でいうところの株)の概念も変わり、配当の禁止はもとより、個人に帰属する医療法人の資産も出資金が上限となりました。このことから、将来の医業の承継や個人の相続等に影響が出ることが考えられ、対策には「絶対」ということはなく、勿論早く取り組まれるのにこしたことはありませんが、むしろ対策を開始してからの「管理」が重要となります。理由はただ一つ、未来は誰にも予測できないからです。その為に、早めの対策開始と覚悟が必要と言うことでしょうか。

藤田 なるほど、医師としての側面に経営という意識が大切で、将来の計画には早めに着手することが大切と言う事ですね。わかっているつもりですが、具体的に着手する手順のようなことがあればご教授願いたいのですが?

開業医を取巻く環境

開業医を取巻く環境(クリックで拡大)

鈴木 はい、まず開業のドクターを取り巻く経営問題は図のように外的要因と内的要因、そして現在と将来というベクトルと時系列で分けてみると分かりやすいと思われます。これらの問題について解決の為の指針が立てにくい原因はカテゴリを超えて繋がっている問題の相談相手が基本的に違うという点です。先生方も科目によって専門が違いますが、総合病院なら横の連携により、解決策の策定がしやすいわけですが、これら医業経営の問題解決について総合病院的なコンサルティング機関はほとんど皆無で、多くの専門家は自分の得意分野で解決策を提案しようとしてしまうため偏りが出てしまいます。しかもその問題は絶えず病医院経営者の考え方、家族のライフスタイルの変化、そして時代潮流に影響されながら変化するわけです。

これらの問題点に取り組むにはまず「自分が将来どうしたいのか」という事を考えてみるのが第一歩ではないでしょうか。

藤田 自分がどうしたいのか。とは、病医院経営の事でしょうか?個人的な生活の事でしょうか?

鈴木 はい、それは的確なご質問です。冒頭にお話ししたように、開業されている先生は多くがオーナー経営者です。病医院の収益は基本的に「診療」から得られるもので、先生がそこに居て初めて経済的機能が働くわけです。個人の希望・家族の希望を叶えるには、先生の診療行為により経済活動がスタートし、経営が安定する必要があり、まさに一心同体で、良い経営状況=良い個人生活なのです。ここで、注目すべき点は先生ご自身が「健康である」と言う事で、すべての根幹的要因です。

経営も個人生活もバランスが大切で、それには個性がありますから人任せではいけないという事もすべてに当てはまるかと思われます。

藤田 なるほど、経営は健康管理に始り、健康管理に終わるわけですね。それと、問題のカテゴリごとに誰にどのように依頼するのが良いのか鈴木さんの意見を聞かせていただけますか?

鈴木 わかりました。これは私の考えですので参考までに申し上げます。それは、経営においては現状分析が最優先と言う事、つまり、自分の健康を管理するには現在の状況を把握するのと同じく、病医院の現在の経営状況がどうなっているのか知ることにつきます。